続・想い秘かに
「イルカ先生、これどうぞ」
カカシはイルカにビニールの袋を渡した。中には野菜、肉、果物とたくさん入っている。
「こんなにたくさん…いつもすいません、カカシ先生。良かったら、また食べていって下さい」
そう言って、イルカは笑った。その笑顔だけでも、貢ぎ甲斐が有るというものだ。おまけにイルカの手料
理まで味わえる。こんなに嬉しいことはない。
本当は、どこか洒落た店で、イルカと食事したい夢が有ったが、こっちの方がなんだか上な気がするので、
よしとした。というか、食事に清水寺の舞台から飛び降りる気持ちで、誘ったことが有る。しかしすぐさま断
られた。イルカ曰く、
「そんなの、勿体無いです!」
それだけで一刀両断されてしまった。そのショックに内心打ちひしがられていた時に、イルカはくどくど
と外食がいかに無駄遣いで体にも悪いかをカカシに説教した。一例を挙げれば、魚をスーパーで買えば一切れ
百円で済むのに、店で食べるとその三倍以上の値段になるだのといったことだが、その内容のほとんどをカカ
シの脳は覚えていなかった。とにかくイルカを食事に誘うという夢は儚くも消えてしまった。
だがカカシは諦めなかった。外でが駄目ならばと、こうして食材を持参してイルカの家に来るようにした
のだった。功を奏してイルカは喜び、こうして二人の甘い(?)夕食がもたれるようになったのであった。
■ ■ ■ ■
「んっ、美味い!イルカ
先生は本当に料理を作るのが上手ですね」
カカシは茄子田楽をほおばりながら言った。すると嬉しそうにはにかみながら、イルカが返す。
「そんな、カカシ先生はいつもうまいですね。そんなに褒めてくれると、作り甲斐が有ります」
「はは…時にイルカ先生…」
「何ですか?」
「…いえ、何もありません、すいません」
カカシは笑って誤魔化した。イルカは簡単に誤魔化された。
カカシは言葉を飲み込んだが、いつも思うことが有る。
『あの肉は、どうなっているんですか?』
カカシはいつも、上等の肉も買ってくるのだが、出てきたためしが無い。食べないのだろうか?イルカは
肉があまり好きではないのだろうか。でも栄養失調で倒れた時、買ってきた肉をおいしそうに頬張っていたの
を覚えている。
…深く考えないようにしよう、とカカシは心に決めた。
終
(up日不明)