それはスーパーのチラシだった。
 一体これがどうしたのだろうと、イルカに視線を向けると、イルカは興奮したような相を見せた。 この顔は見覚えがある。ありまくる。この顔をした時のイルカは…
「見て下さいこれっ! こんなに肉が安いんですよっ!!」
 そういう話題の時だった。へー、と半分どうでもいい気持ちで、それを見ると、確かに安かった。
 しかしこれがどうしたというのだろうか。こんなものを持ってきて、見せるなんて。まさかこれを 買ってこいというんじゃないだろうか。
「だから、今夜はこれにしようと思うんですけど、どうでしょうか」
 え。
 カカシはきょとんとして、目を瞬かせた。
 こんなお伺いを立てる。そして今夜という単語。
 もしや、もしやこれは…!
「い、い、いいんじゃないでしょうかっ、安いし、上手そうだしっ、またとない機会ですよっ!」
 カカシは少しぎこちないながらも、咳き込むように言った。
 するとイルカも、やっぱり? と言って、ホッとしたように笑った。
「良かった! 安物買いの銭失いって言葉があるじゃないですか。でもカカシ先生は上忍なんだから、きっと 目が利くと思ったんですよ。カカシ先生の墨付きがあるなら大丈夫ですね。よし、今夜はお肉だ!」
 食うぞー! とイルカは目を爛々とさせて言った。
 カカシは、ただ呆然と立ち尽くした。
 チラシの写真で分かるかい、と突っ込むべきか。
 それとも上忍だからって肉の良し悪しが分かるかい、と突っ込むべきか。
 しかしカカシはあさっての方向を向き、爽やかに笑った。
 さすがイルカ先生、ナイスボケ。ちょっと殺意湧いちゃいましたよ。

 そんな風に想いながら、カカシはイルカと笑いあった。



 すみません、この世界の通貨の単位はなんだったか忘れて、面倒なんで円にしてしまいました…。